
最近、多くのホテル・旅館からインバウンドプロモーションについての相談をよくいただきます。
「インバウンドを増やしたい」「具体的な策はこれから」という漠然としたお問い合わせが多い傍ら、2024年3月、4月の訪日外国人観光客は300万人越えと、単月で過去最多を更新しています。
ここでいかに先手を打てるかが今後のインバウンド誘致成功の分かれ道になります。
早急に求められているインバウンド対策。今回はインバウンドプロモーションの観点から、どう戦略を立てていくのかポイントを整理していきます。
インバウンドプロモーションとは
訪日旅行客に向けた販促活動全般のことを指します。
一般的な広告施策はもちろん、SNSを活用した配信、店舗でのポスター掲示からパンフレット配布まで、多岐にわたります。
プロモーション方法が多岐にわたる中で、自施設にあった適切な方法でのアプローチを考える必要があります。
考え方は至ってシンプル。下記の3ステップに沿ってプロモーション施策の大枠を決定することができます。
①ターゲットの選定
➁外国人旅行客のニーズに合った自施設のウリポイントを決める
③プロモーション媒体・タイミングの選定
今回はその中でもデジタルプロモーションに絞った施策について整理していきます。
①ターゲットの選定
まずは「データ収集」により、現状を把握します。
・行政(観光庁/JNTO/市町村)が公表している訪日外国人のデータや、海外OTAの管理画面を活用して、自施設があるエリアの訪日外国人マーケットを把握する
・Googleアナリティクスの国別データや海外OTAの管理画面を通して、自施設で現在どの国(エリア)からのゲストを獲得できているかを把握する
上記の方法でデータが揃ったら、どの国をターゲットにするかを決めます。
「エリアに来ている国×自施設で獲得できている国」の指標で4つのカテゴリーに分類します。
(1)「エリア:多×自施設:多」
この場合は、既に多くのゲストを獲得しており、さらに伸ばす余地があるかを検討することとなります。
(2)「エリア:多×自施設:少」
この場合は、エリアには来ているので、自施設で獲得できる可能性が高い有望な国であるといえます。
(3)「エリア:少×自施設:多」
この場合は、自施設が固有に選ばれている可能性があるので、そこを深堀する必要がある国になります。
(4)「エリア:少×自施設:少」
この場合は、非常にニッチな国となるので、最初の一手としてはお薦めできない国になります。
最初の取り組みとしては、やはり母数がある(1)や(2)の国(エリア)をターゲットとして選定することをお勧めします。
➁外国人旅行客のニーズに合った自施設のウリポイントを決める
ターゲットが決まったら、次に選定したターゲット国のトレンド、旅行志向を調査します。
おすすめの調査方法は下記の方法です。
・自施設やそのエリアに実際に来た外国人旅行客にアンケート、ヒアリングをする
・訪日外国人観光客に向けたアンケートデータを参照する
下記は、「旅行先でしたいこと」について、海外での情報を重視するのか、身の回りの情報を重視するのか(海外志向 vs 身近志向)、その場所を体験したいのか、土産物を買ったり食べたりしたいのか(コト志向 vs モノ志向)を組み合わせ行ったアンケートデータです。

出展:(Cint Japan株式会社・株式会社JTB総合研究所 共同調査「旅マエ~旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」)
国・地域別にみると、比較的、欧米の旅行者は「海外で話題になっているモノ」、アジアの旅行者は「身近で話題のコト」に惹かれる傾向があることがわかります。
例えば、選定したターゲット国が欧米であれば、海外のメディアなどを通じた土産物や地産品の紹介からの切り口でのプロモーションが効果的な可能性があります。
このような形で選定したターゲット国でのトレンドと、自施設のウリポイントを掛け合わせたコンテンツを考案します。
③プロモーション媒体・タイミングの選定
ターゲットと、配信するコンテンツが決まったら、それを配信する媒体・タイミングを決めていきます。
訪日旅行者の約8割が、旅行日数が旅行形態に関わらず、「旅マエ」に旅程を決定しています。
(Cint Japan株式会社・株式会社JTB総合研究所 共同調査「旅マエ~旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」)
やみくもに「旅マエ」にプロモーションをするのではなく、
・ユーザーの行動段階(ユーザーの行動や心理を時系列で追う形で細分化)
・マーケットにあったプロモーション(マーケットと相性のいい媒体)
で仕掛ける必要があります。
・ユーザーの行動段階(ユーザーの行動や心理を時系列で追う形で細分化)
予約までの行動段階を4つに分け、それぞれの行動段階にあった媒体をご紹介します。
メディアでの配信やインフルエンサー配信は、導入段階の認知の目的で有効的。
SNSやWeb広告は、より絞り込みを求める検討の目的で有効的であると言えます。

・マーケットにあったプロモーション(マーケットと相性のいい媒体)
また、以下のように、各国で見られている媒体が異なります。
選定したターゲット国でよく見られているメディアやSNSを吟味してから媒体を決定する必要があります。

出展:We Are Social , Quest Mobile 元に弊社作成
まとめ
以上のことから、
①ターゲットの選定
➁外国人旅行客のニーズに合った自施設のウリポイントを決める
③プロモーション媒体・タイミングの選定
に沿って、プロモーション施策の大枠を組み立てることで、自施設を効率よく訴求でき、訪日外国人旅行者の集客が期待できるでしょう。
しかし、情報を集めて的確にターゲットや媒体を選定することが重要なポイントとはいえ、ここを見誤った施策を立ててしまうと、せっかく振り分けたプロモーション予算が水の泡になってしまいます。
失敗しないインバウンドプロモーションを施行するためには、膨大なデータや実績を加味し、すべての要素をうまく組み合わせて戦略を立てる必要があります。
インバウンド対策ラボでは、多岐に異なる国ごとのマーケットリサーチはもちろんのこと、ターゲットや媒体の選定サポートから、実際のプロモーション配信までを包括的にサポートする「インバウンドプロモーションパッケージ」支援も行っております。
特にホテル旅館など宿泊・観光業の実績多数。これまでの知見を活かしたご提案をさせていただきます。
コロナを経て一回リセットされたインバウンド業界。昨今、急激にインバウンドの波が復活している中、この波に乗り遅れないようにしっかりと対策していきましょう。
今後、インバウンドプロモーションについて力を入れていきたい方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。