越境ECやSNSマーケティングの発展により、世界中の顧客と簡単につながることができるようになりました。この機会を最大限に活用するためには、ウェブサイトの多言語対応が重要です。グローバル化が進む中、多言語サイトの構築は企業の成功に欠かせません。特にインバウンド戦略として、海外ユーザーに効果的にアプローチするためには、ターゲット地域に応じたSEO戦略が求められます。
本記事では、多言語サイト制作においての4つのポイントを解説します。
①ターゲット地域の選定
多言語サイトを構築する際には、まずターゲット地域の選定が重要です。特定の国を狙うことで、その国の文化や市場の特性に合わせたコンテンツを提供できます。例えば、アメリカとオーストラリアでは同じ英語でもニュアンスが異なるため、それぞれの地域に適した表現や用語を使うことが求められます。また、ターゲット国のユーザーが好むコンテンツ形式(ブログ、動画、インフォグラフィックスなど)を理解し、それに合わせたコンテンツを制作することも大切です。これにより、現地の人々との信頼関係を築くことができます。多言語サイトを構築する際は、以下の2つのケースに注意が必要です。
特定の英語圏をターゲットとする英語サイト: 例えば、アメリカ英語で作成されたニューヨークのホテルサイトは、イギリスの旅行客にも受け入れられます。同様に、スコットランドの特産品を扱うサイトがイギリス英語を使用しても、アメリカの顧客に訴求することができます。地元の特産を強調する場合は、現地の言葉を用いるのが効果的です。
非英語圏をターゲットとする英語サイト: 理想的には、各国ごとに現地語版を用意することが望ましいですが、多くの場合、英語サイトが1つだけ用意されています。どの英語を使用するかは、ターゲットユーザー層や競合によって変わります。例えば、欧州からの観光客を対象とする旅館はイギリス英語を使用し、アメリカやアジアからの観光客を狙う場合はアメリカ英語が適切です。これは、検索エンジン最適化(SEO)にも影響します。
また、多言語サイトのPR動画や広告で音声翻訳を行う場合もターゲット国に応じたアプローチが重要です。
クイーンズイングリッシュ(純正英語)* は上品さを演出し、高級ホテルに適しています。対照的に、アメリカ英語(特に中西部や北東部のアクセント)は、アメリカやカナダの市場に親しみやすさを提供し、モダンなホテルやホステルに適しています。
※クイーンズイングリッシュ(純正英語):イギリスの上流階級や教育期間で使用される伝統的で標準的なイギリス英語。洗練されたイメージを持つため、格式のあるビジネスや高級ホテルのPR、国際的なイベントなどで好まれることが多い。
②ターゲット地域における検索エンジンのシェアと海外SEOの重要性
ターゲット地域で利用されている検索エンジンのシェアを把握することは、海外SEOや多言語SEO戦略の構築において欠かせません。多くの国ではGoogle以外の検索エンジンが利用されていますが、中国では百度、ロシアではYandexが利用されています。このため、地域特有の検索エンジンに合わせたSEO戦略や広告プラットフォームの選定が求められます。適切な戦略を採用することで、海外の検索ユーザーに効果的にアプローチし、見込み客を増やすことが可能です。一方で、こうした施策には時間やリソースが必要であり、長期的な管理や運用には追加コストも発生します。特に、国ごとに異なる検索エンジンへの対策が必要であり、継続的な取り組みが重要です。定期的にサイトのパフォーマンスを分析し、効果が出ている地域や言語を把握することで、戦略の見直しや、持続的な改善を図りましょう。
③多言語SEOにおけるウェブサイトのコンテンツ翻訳と質の高いコンテンツ作成
ウェブサイトを多言語化するには、コンテンツの翻訳が不可欠です。自分で翻訳が難しい場合は、プロの翻訳者や翻訳会社に依頼するのが堅実ですが、コストとスピードを重視するなら、Google翻訳やDeepLなどの機械翻訳サービスも活用できます。これらのサービスは近年精度が向上しており、自然な翻訳が可能ですが、文法や文化的なニュアンスが失われる恐れがあるため、確認と修正が必要です。自分で翻訳を行い、翻訳会社にネイティブチェックを依頼するサービスも増えてきています。ただし、質の高いコンテンツを作成するためには、現地の文化やニーズに合ったオリジナルコンテンツが重要です。単に翻訳するだけではコンテンツの魅力が損なわれ、検索エンジンの評価も低下する可能性があります。ネイティブスピーカーの協力を得て、ターゲット国のユーザーが共感できるメッセージを発信することが理想的です。このように、質の高いコンテンツ作成と適切な翻訳方法の組み合わせが、海外SEOの成功に繋がります。
④キーワード選定の重要性
多言語SEOの効果を最大限に引き出すためには、キーワード選定が不可欠です。日本語サイトのキーワードをそのまま英語に翻訳するだけでは十分な効果が得られないことがあります。英語圏には独自のキーワードが存在し、競合サイトのリサーチやトレンド分析を通じて、適切なキーワードを見つけることが重要です。この選定はコンテンツの方向性にも影響を与えるため、戦略的なアプローチが求められます。また、国ごとのオンライン検索の傾向やSEOニーズが異なるため、翻訳した言語に基づくキーワードリサーチを行い、その結果を反映させることが必要です。これにより、母国語を話すユーザーが関連商品やサービスを検索した際に、多言語化されたサイトが検索結果に表示される可能性が高まります。
まとめ
インバウンド戦略としての多言語サイトの構築は、グローバルな視点を持った企業にとって非常に重要です。ターゲット地域の選定、適切な検索エンジンの選択、高品質なコンテンツの作成、効果的なキーワード選定が成功のカギとなります。これにより、国際市場での競争力を高め、持続可能な成長を促進することが期待されます。各国の特性に応じた戦略を展開することで、より多くの顧客との接点を生み出し、ビジネスの拡大を実現できるでしょう。
インバウンド対策ラボ(アビリブグループ)では、多言語サイト制作・インバウンドプロモーション・インバウンドメディア掲載など各種インバウンド対策支援を行っています。特にホテル旅館など宿泊・観光業の実績多数。これまでの知見を活かしたご提案をさせていただきます。まずはお気軽にご相談ください!