
訪日外国人旅行者数が回復を続けるなか、韓国からの旅行者は引き続き上位を維持し、韓国からの集客は依然としてインバウンド集客において非常に重要なポイントです。本記事では、観光庁によるインバウンド消費動向調査をもとに、韓国人観光客の消費構造や消費パターンを多角的に見ていきます。
1. 韓国人観光客の支出内訳

観光庁の調査によると、韓国人観光客1人あたりの旅行中支出は、2024年には平均11万円前後、2025年1~3月期には11.3万円とやや上昇しました。他国と比較すると総額は少なめで、これは短期滞在が主流であることが最大の理由です。
2024年の支出項目別では、最も大きな割合を占めるのが「宿泊費」で、全体の約31.7%にあたり、一人当たり3万~3.5万円程度を支出しています。続いて「買物代」が26.4%、3万円近くの支出を示しています。大きな特徴としては、「飲食費」で一人当たり3万円近くを支出しており、これは全体の27.1%を占めており、他国のデータと比較しても圧倒的に高い水準です。
「交通費」は全体の約8.5%、1万円前後の支出にとどまります。「娯楽・サービス費」は6.2%と、他の項目と比較すると低めに推移していますが、これは他国と比べて低い水準ではありません。これらの傾向から、韓国人旅行者は短期間でも宿泊とショッピング、そしてグルメを重視する旅行スタイルを取る傾向にあることがわかります。
2. 韓国観光客の性別・年齢・滞在日数から見る消費

性別では男性が約55%、女性が約45%とやや男性の割合が高く、年齢構成を見ると男女ともに20代が最も多く、男性では21.3%、女性では18.4%を占めています。訪日旅行が若年層にとって身近で頻繁な海外旅行先として定着していることを示していると言えます。若年層の消費傾向としては、SNSで話題になった店舗や商品を短期間で巡る旅行も多く、買物や飲食、カフェ巡りに対する消費意欲が高い傾向にあります。
滞在日数については、4〜6日間の旅行が最も一般的で、90%以上が6日以内の短期滞在を選択していることわかります。特徴としては、3日以内の超短期滞在も全体の約3割を占めており、これは物理的な距離が近いことも理由の一つです。また、時間を効率的に使って目的をこなす旅のスタイルが人気であることもうかがえます。
3. 韓国観光客の初回訪問とリピーターで見た消費行動の違い

韓国人観光客の80%近くはリピーターであり、訪日回数が2回以上の人が多数を占めています。初回訪問者と比較すると、リピーターの方が旅行内容や消費の目的がより明確で、支出にも差が現れる傾向があります。たとえば初回訪問者の旅行中支出は平均約9.5万円であるのに対し、2回以上訪問しているリピーターでは約10.6万円と支出額が伸びています。
リピーターの消費行動の特徴としては、「買物代」により多くの支出をする傾向も見られ、買物需要の高さがうかがえます。韓国人旅行客は一度の滞在が短く、一度の旅行における消費金額自体は少なめですが、リピート数や訪問者数が多いため、訪日韓国人全体で見た支出総額は高い傾向にあります。満足度を上げてリピート率を増やすことも、重要な消費戦略の一つと言えるでしょう。
4. 韓国観光客の支出項目ごとの消費傾向

買物行動では、菓子類の購入率が83.5%を示しており、他国と比較しても高い水準にあります。また、食料品・飲料・たばこの人気も高いです。こうした消費傾向が表れるのは、日本と韓国の食文化の親和性の高さなども理由の一つと考えられます。
買物場所としては、訪問者の約86%がコンビニを利用しており、近年SNSなどでも「日本のコンビニグルメ」が非常に人気となっており、多くのインフルエンサーが紹介しています。若年層への人気も高く、韓国人旅行者の日本旅行における目玉の一つとなっています。また、約85%がドラッグストアを利用したと回答しており、日本商品の安くて質の高いイメージも相まって、買物需要の高さが見られます。
他にも、飲食に関しては、外食が旅行の目的の一つとして強く意識されており、ラーメン、寿司、和牛などの「日本らしいグルメ体験」に積極的に支出する傾向があります。SNS映えする飲食店やスイーツ巡りも好まれ、食に関する支出は1人あたり約3万円と高い水準です。
まとめ
韓国人観光客の特徴として、一人当たりの旅行支出が約11万円、平均泊数が4.2泊という数値からも分かるように、日本を非常に身近に感じて、他国の旅行者よりも気軽に旅行を楽しむ傾向が強く見られます。依然として買物やグルメ関連の支出が多く、キーポイントであることに変わりはありませんが、娯楽やサービスに関する支出も増加傾向にあり、体験型消費も今後の伸び代が期待されます。
また、全体として消費行動においてインフルエンサーやSNSに大きく影響を受ける傾向もあるので、集客においてはそうしたマーケティングも鍵となります。
他国と比較すると、一度の消費額の高さを求めるよりも、満足度などを上げてリピート回数を増やすことが集客における重要な戦略と言えます。観光地や事業者は、韓国人旅行者のこうした消費傾向に対応することで、より高い満足度とリピート意欲を引き出すことができるでしょう。
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