韓国では海外旅行が非常に人気で、多くの人々がインターネットを通じてさまざまな情報を収集しています。韓国人が情報を得る上で特に重要視するのは、個人のリアルな体験談と視覚的な情報と言えるでしょう。そのため、公式サイトや大手メディアよりも、個人ブログやSNSでインフルエンサーが発信する情報からより大きな影響を受ける傾向にあります。
現地の情報収集の傾向を把握することで、より効果的なマーケティング・インバウンド集客が実践できます。ここでは、韓国人が海外旅行の情報を得る際にどのようなメディアを活用しているのかを紹介していきます。
1. YouTube
韓国人が海外旅行の情報を得る上で、最も影響力のあるプラットフォームの一つがYouTubeです。特に、個人の旅行体験が見られる「Vlog（ビデオブログ）」は絶大な人気を誇ります。Vlogを通じて現地の宿泊施設、交通、注意点などを視覚的に確認する人が多く、コメント欄を通じて情報交換をするなどの使い方をする人もいます。
韓国の旅行系YouTuberの例としては、빠니보틀 (Pani Bottle)、곽튜브 (Kwaktube)といったインフルエンサーが人気で、リアルな旅の雰囲気を重要視するユーザーが多いです。
韓国の人々は、Vlogを通じて旅を「予習」するような使い方をすることが多い傾向にあります。また、YouTuberが紹介する穴場スポットやグルメも、旅行計画を考える際に大きな影響を与えます。
2. Instagram
写真や短い動画で手軽に情報を収集できるInstagramも、韓国人にとって海外旅行情報を得る上で欠かせないツールです。韓国では、目的地や興味のあるジャンルのハッシュタグを徹底的に活用する傾向にあります。例えば、「#런던여행 (ロンドン旅行)」「#파리맛집 (パリの美味しい店)」「#도쿄카페 (東京カフェ)」といった具体的なハッシュタグで検索し、行きたい場所の最新トレンドや人気スポットをチェックするといった使い方をするユーザーが多いです。
また、Instagramでも旅行系のインフルエンサーが大きな影響力を持っています。投稿された景色の写真や料理動画を見て、「ここに行ってみたい！」というインスピレーションから旅の目的地を決めることも珍しくありません。また、写真映えするスポットを探したり、旅先でのファッションの参考にしたりする目的でもよく利用されます。
3. NAVERブログ / NAVERカフェ
韓国最大のポータルサイトであるNAVERが提供するNAVERブログとNAVERカフェは、個人の体験談や情報交換の場として、非常に重要な役割を担っています。旅行計画を立てる際には、まずはNAVERで海外旅行記やグルメ、ホテルレビューなどを調べる人が多いです。
NAVERブログは、個人の旅行ブログが非常に多く、日程ごとの詳細な旅行記、具体的な費用、交通手段の比較、現地の注意点など、YouTubeやInstagramでは伝えきれない文字ベースの詳しい情報が多く記載されています。特に、「솔직 후기 (正直なレビュー)」と呼ばれる、良い点も悪い点も包み隠さず書かれたレビューは、韓国人旅行者に最も信頼されている情報源とも言えます。
また、NAVERカフェでは、「유럽여행 동호회 (ヨーロッパ旅行同好会)」や「일본 여행 정보 (日本旅行情報)」のような地域やテーマに特化した旅行コミュニティ（カフェ）が多数存在します。メンバー同士がリアルタイムで質問を投稿し、現地の最新情報や具体的なアドバイスが共有されるほか、一人旅の同行者を募集したり、お土産の情報を交換したりする場としても活用されています。
NAVERを通じて、スケジュールや予算などの具体的な旅行計画を立てたり、旅行について質問したり意見交換をするユーザーは多く、旅行のみならずあらゆる分野において、NAVERは依然として韓国における最重要な情報源とも言えるでしょう。
4. 旅行予約サイト・アプリ
ここまでSNSや個人が発信する情報を中心に見てきましたが、韓国でも海外旅行の予約に特化したサイトやアプリは多く利用されています。
Trip.com, Agoda, Booking.comといった、日本のユーザーにも馴染みがあるグローバルな予約サイトは、ホテルや航空券の予約情報はもちろん、ユーザーによるレビューが豊富に掲載されています。韓国人旅行者は、これらのレビューを参考に、宿泊施設のきれいさ、サービス、立地などを細かくチェックする傾向にあります。
韓国独自のプラットフォームは、마이리얼트립 (MyRealTrip), 와그 (WAUG)などが有名で、韓国語で現地ツアーや体験プログラムなどを検索・予約できるため、非常に人気があります。
MyRealTripは、ツアーやアクティビティなどの豊富な商品が探せる点が強みです。また、ユーザーの好みに合わせて旅行商品を自由に組み合わせるなど、パーソナライズされた旅行体験が得られるのも特徴の一つです。「旅行スーパーアプリ」を目指しており、航空券、宿泊、ツアー、アクティビティ、レストラン、レンタカーなどの旅行に必要なサービスを一括で提供しているサービスとして、幅広いニーズを持ったさまざまな年齢層のユーザーに利用されています。
WAUGも同様に幅広いアクティビティを中心に探せるのが強みで、割引価格で観光施設などのチケットを購入しやすい点も特徴です。豊富な口コミやレビューを参照しながら探せる点も強みの一つです。スマートフォンに特化した使いやすいインターフェースのアプリがあり、数タップで簡単に予約できるなどの高いユーザビリティと手軽さも魅力的で、特に若年層のユーザーに人気のサービスです。
まとめ
韓国人が海外旅行の情報を調べる場合、単に情報を集めるだけでなく、Vlogやレビューを通じて「予習」をして、自身の旅をより具体的にイメージすることを重視しています。また、公式的に発信される情報よりも個人によって書かれた「本音」を信頼する傾向にあります。こうした側面から、韓国では公式サイトや企業が運営する旅行系メディアよりも、SNSなどでの個人による発信が多く参照される流れが形作られています。
韓国でのマーケティングにおいては、インフルエンサーの影響力が大きいとされますが、それは信頼されやすい情報発信源であることが大きな理由です。インバウンド集客においても、こうしたメディアの利用傾向を把握しておくと、より効果的な集客が期待できるでしょう。
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