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タイの祝日と旅行需要の傾向:2025年インバウンドカレンダー完全ガイド

著者: インバウンド対策ラボ編集部

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タイの祝日と旅行需要の傾向:2025年インバウンドカレンダー完全ガイド

タイ市場は日本のインバウンド戦略において極めて重要な位置を占めています。効果的な誘客を実現するためには、タイの祝日体系と海外旅行需要の関係性を深く理解し、適切なタイミングでのプロモーション展開が不可欠です。本記事では、2025年のタイ祝日カレンダーと訪日需要の動向を詳細に分析し、実務に活用できる戦略的インサイトを提供します。

1. タイの主要祝日カレンダー(2025年)

タイ政府が発表した2025年の祝日は、通常祝日と特別休日を合わせて計27日となっています。(出典:タイ政府広報局PRD)これらの祝日の最大の特徴は、複数の祝日が連続することで4〜5連休を形成するケースが頻繁に発生することです。

タイの主要な大型連休期間の詳細

ソンクラーン(4月13日〜15日)は、タイの伝統的な新年を祝う最も重要な祝日です。
この期間は基本的に3日間の祝日ですが、土日との組み合わせや特別休日の設定により、最大5連休となる可能性があります。ソンクラーンはタイ全土で水かけ祭りが行われる時期として知られており、多くのタイ人が帰省や旅行を行う年間最大の移動期間となります。

仏教関連祝日では、6月初旬のヴィサカブーチャデー(仏誕節)と7月のアサラハブーチャデー・カオパンサーの組み合わせが重要です。これらの祝日は仏教暦に基づいて設定されるため年によって日程が変動します。タイ観光庁の統計によると、これらの仏教祝日期間中の国内外旅行者数は通常期の約2.5倍に増加することが報告されています。
(出典:Tourism Authority of Thailand https://www.tatnews.org/

年末年始期間は国際的な休暇期間として、タイでも海外旅行需要が高まる時期です。12月31日から1月2日までの新年祝日と土日を組み合わせることで、最大6〜7連休となる可能性があり、長期海外旅行の絶好の機会となります。

2. タイの祝日と海外旅行需要の関係

タイにおける海外旅行需要は、祝日による大型連休の形成と密接な関係があります。特に4日以上の連休が形成される期間では、海外旅行者数が通常期と比較して大幅に増加する傾向が見られます。

ソンクラーンの特別な位置づけ

ソンクラーンは単なる祝日ではなく、タイ人の生活リズムに深く根ざした文化的イベントです。訪日ラボの調査によると、ソンクラーン周辺期間は訪日タイ人数が年間で最も集中する時期のひとつとなっており、この期間の訪日予約は通常期の約3倍に達します。また、タイ国政府観光庁の統計では、ソンクラーン期間中にタイを出国する海外旅行者数は年間総数の約15%を占めることが報告されています。

連休の長さと旅行先選択の相関性

訪日するタイ人は長距離移動(6-7時間のフライト)となるので、大型連休を利用してくることが多いことが考えられます。

また、タイ人の訪日旅行の平均滞在日数は 6.61日間となっています。「JNTO 訪日旅行誘致ハンドブック 2025年(東南アジア・南アジア7市場編)
これは、長距離移動を伴う海外旅行には一定の滞在日数が必要であることを示しており、インバウンド事業者にとって連休の長さは重要な需要予測指標となります。

3. データで見る訪日タイ人の動向

日本政府観光局(JNTO)の最新統計は、訪日タイ人市場の回復傾向を明確に示しています。JNTOが発表した統計によると、2024年の訪日タイ人数は通年で約132万人となり、コロナ前の2019年比で約95%まで回復しました。
(出典:JNTO「訪日外客統計」https://statistics.jnto.go.jp/

月別動向の詳細分析

出典:「国籍 月別 訪日外客数」日本政府観光局(JNTO)をもとに作成

春季(3〜5月)では、ソンクラーン期間を含む4月が年間ピークのひとつとなっています。JNTOデータによると、2025年4月の訪日タイ人数は約158,470人となり、月間最高記録を更新しました。
(出典:JNTO 月別統計 https://statistics.jnto.go.jp/
この時期の特徴として、家族連れでの訪日が多く、滞在日数も平均7.2日と年間で最も長くなる傾向があります。

夏季(6〜8月)は、学校の夏休み期間と重なることで若年層の訪日が増加します。この期間の海外旅行者の約35%が18〜35歳の若年層であり、都市観光やエンターテイメント施設への需要が高まる特徴があります。しかし、年間でみると、訪日の人数がもっとも低い時期となっています。

秋冬季(10〜12月)は、訪日タイ人にとって最も人気の高い時期です。JNTOの統計では、この3ヶ月間で年間訪日タイ人数の約40%が集中しており、特に11月の紅葉シーズンと12月の年末商戦期間で顕著な増加が見られます。
(出典:JNTO 月別統計 https://statistics.jnto.go.jp/)

4. タイ人の休暇の過ごし方:旅行スタイル別考察

タイ人の海外旅行における休暇の過ごし方は、その祝日がどのような意味を持つか(宗教的・伝統的・娯楽的)や、何日間の休みになるかによって明確に異なる特徴を示します。これらの傾向を理解することで、より効果的なマーケティング戦略を構築することが可能です。

タイ人の家族旅行中心のソンクラーン期

ソンクラーンは伝統的な帰省・家族団らんの時期であり、この期間の海外旅行も家族単位での移動が主流となります。

この時期の訪日タイ人は、温泉旅館や家族向けリゾートホテル、テーマパーク周辺の宿泊施設を好む傾向があります。また、3世代での旅行も多く、バリアフリー対応や多様な年齢層に対応できる施設への需要が高まります。日本旅館協会の統計では、ソンクラーン期間中のタイ人宿泊者の平均滞在日数は6.8日となり、年間平均の5.2日を大きく上回っています。

タイ人のバケーション旅行:夏季連休期の特徴

6〜7月の仏教祝日による連休期間は、若年層やカップルによるバケーション旅行が主流となります。この時期の特徴として、都市型観光や短期集中型の旅行スタイルが好まれます。

この期間の日本旅行では東京・大阪などの都市部への予約が全体の約70%を占めており、ショッピングやグルメ、エンターテイメント施設への関心が高いことが分かります。また、平均滞在日数は4.5日と比較的短く、効率的な観光ルートや利便性の高い宿泊施設が選ばれる傾向があります。

秋冬シーズン(10〜12月)の多様な観光需要

10〜12月の秋冬シーズンは、訪日タイ人にとって最も魅力的な時期とされています。この期間の特徴として、紅葉観賞、温泉、ウィンタースポーツ、年末ショッピングなど、多様な観光目的が混在することが挙げられます。

JNTOの調査によると、この時期の訪日タイ人の観光目的は「自然・景勝地観光」が45%、「温泉」が38%、「ショッピング」が42%となっており、複数の目的を組み合わせた旅行が主流となっています。(出典:JNTO 訪日外国人消費動向調査)また、この時期の平均消費額は約18万円となり、年間平均の約14万円を大きく上回ることが報告されています。

5. タイ人観光客を惹きつける時期・地域ごとの対策

都市部観光施設への影響

東京・大阪などの主要都市部では、特に夏季連休期間と年末年始期間での訪日タイ人増加が顕著です。東京都の統計によると、6〜8月期間中の都内主要ホテルにおけるタイ人宿泊者数は前年同期比で約30%増加しており、特に若年層向けのエンターテイメント施設周辺での需要増が目立ちます。

温泉地・リゾート地域の動向

箱根・熱海などの温泉地域では、ソンクラーン期間と秋冬シーズンでの家族連れ需要が集中します。神奈川県観光協会のデータによると、ソンクラーン期間中の箱根エリアにおけるタイ人宿泊者数は通常期の約4倍に達しており、特に3世代家族での利用が増加傾向にあります。

月別プロモーション戦略

2〜3月:ソンクラーン先行準備期では、家族・多人数パッケージ、温泉旅館のファミリープラン、団体送客の在庫確保を開始し、家族訴求と温浴・残雪の写真を活用した広告展開が効果的です。
出典:JNTO 季節性分析

5〜6月:夏季連休需要の取り込みでは、7月連休向けの「2泊3日・都市周遊」商品を航空セールと同期して展開し、週末接続のモデル日程を具体化することが重要です。

8〜9月:秋冬先行販売期では、紅葉・収穫体験・夜間イベントなど10〜12月の素材を多言語化・動画化し、早割で囲い込みを図ります。

まとめ

2024年の回復基調を踏まえると、2025年10〜12月期の訪日タイ人数は2019年同期比で約105%に達する可能性が高く、完全なコロナ前水準への回復が期待されます。航空供給が大きく毀損しない前提では、紅葉・初雪・年末イベントの訴求力は引き続き強く、観光消費の伸長が期待できます。

タイ国内でのデジタル決済普及率が90%を超える中、訪日旅行においてもキャッシュレス対応への期待が高まっています。また、SNSを活用した情報収集が主流となっており、インスタグラム映えする観光スポットや体験型コンテンツへの需要が今後さらに増加すると予測されます。

これらの動向を踏まえ、インバウンド事業者は祝日カレンダーに基づいた戦略的なプロモーション展開と、多様化するタイ人観光客のニーズに対応したサービス提供が成功の鍵となるでしょう。特に、4月(ソンクラーン)、7月(仏教連休)、10〜12月(秋〜年末)の3つの需要ピークを念頭に置いた年間戦略の構築が、持続的な成長を実現する重要な要素となります。

インバウンド対策ラボ(アビリブグループ)では、インバウンドプロモーションインバウンド広告のサービスなどのインバウンド対策支援を行っています。特にホテルや旅館など、宿泊・観光業の実績多数。これまでの知見を活かしたご提案をさせていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。

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