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タイ人観光客の最新トレンドを解説!インバウンド対策に活かせる旅行スタイルの傾向まとめ

著者: インバウンド対策ラボ編集部

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インバウンドデータ・動向

タイ人観光客の最新トレンドを解説!インバウンド対策に活かせる旅行スタイルの傾向まとめ

2024年の訪日インバウンド市場は、コロナ禍を乗り越え急速に回復し、再び活況を呈しています。その中でも、東南アジアを代表する中核市場「タイ」の動向は注目に値します。タイからの訪日旅行者は、旅行者数・旅行支出ともに高水準で推移しており、購買力・情報発信力の両面からも非常に影響力のある市場といえるでしょう。

特に注目すべきは、「2019年との比較」です。2019年はコロナ前におけるピーク年であり、インバウンド戦略を評価する際の基準年とされます。2024年のタイ人訪日旅行支出額は2,264億円と、2019年(1,732億円)から約30%も増加。この事実は、旅行の「量」から「質」へと価値がシフトしていることを示唆しています。

1. 訪日タイ人旅行者数と旅行スタイルの変化

2024年の訪日タイ人旅行者数は114万8,900人(前年比+15%)と着実に回復を遂げている一方、2019年の132万人にはまだ約13%届いていません。しかし、旅行単価の上昇やリピーター率の高さから見て、「深みのある旅行」を選択する動きが強まっているといえます。

旅行スタイルはFIT(個人旅行)が主流となっており、LCCやOTA(オンライン旅行代理店)の浸透により、旅程の自由度が大きく向上。リピーター率は74%を超え、旅行前の情報収集はSNS (YouTube ・ Facebook ・ Instagram)を中心に行われ、映像による「疑似体験」が旅の質を高める要素として機能しています。

参考資料:
JNTO「市場動向トピックス(2024年)」

2. 消費傾向: 宿泊と買物を軸に「体験型消費」へ

1人あたりの平均旅行支出は約22.7万円と高水準。中でも宿泊費と買物費で6割を占めており、これらが旅行満足度を左右する最重要項目であることが分かります。ホテル選びでは「体験価値」や「SNS映え」、買物では「日本ブランドの信頼性」といった要素が購買動機になっています。


注目の消費トレンド(2024年データ):
 ・宿泊:約77,000円(33.6%)

 ・買物:約66,000円(29.5%)

 ・飲食:約48,000円(21.5%)


今後、こうした「目的型・意図的な消費行動」がさらに細分化されると予測され、“自分だけの特別な旅”を求める消費者ニーズがより顕在化していくでしょう。

とりわけ、宿泊と買物の2項目で全体の6割以上を占めており、この2つが旅の満足度に大きく影響していることが分かります。

宿泊に関しては、都市部の利便性を重視したホテル利用に加え、地方の温泉宿やデザイン性の高い旅館など、“非日常の滞在”を求める傾向が見られます。価格だけでなく、空間やホスピタリティ、SNS映えする内装といった体験価値が選択基準になっています。
一方、買物については、観光庁が2023年に発表した別の調査(2023年7-9月期)で、タイ人旅行者に人気のジャンルとして以下の項目が挙げられています。


 ・菓子類(購入率79.1%、購入単価:15,003円)

 ・衣類(購入率48.3%、18,675円)

 ・飲料・食料品(購入率43.1%、14,564円)

 ・靴、かばん、革製品(購入率40.4%、36,427円)

 ・化粧品・香水(購入率26.4%、17,339円)


参考資料:観光庁「訪日外国人消費動向調査(2023年7-9月期)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001635861.pdf

これらのデータから読み取れるのは、「日本でしか買えない高品質な商品」が購買動機となっている点です。とくに日本ブランドに対する信頼感や“安心して買える”という意識が強く、事前にSNSやYouTubeで情報を得たうえで、計画的に買物行動を行う傾向があります。
買物は単なる「お土産」のための行動ではなく、旅の中での“もう一つの体験”として重視されており、感性や思い出と結びついた消費行動となっています。これは、宿泊に求める価値が「快適さ+特別感」であるのと同様に、買物においても「所有+記憶」が重要視されているといえるでしょう。

3. 旅行目的と体験コンテンツへの注目

2025年、訪日タイ人旅行者の旅行目的は、従来の「ショッピング」や「日本食」に加え、自然・文化・季節の違いを体感できる“体験型”コンテンツへの関心が急速に高まっています。
日本政府観光局(JNTO)が公表した最新の訪日前調査によると、訪日前に期待している内容として最も多かったのは「日本食(86.0%)」で、次いで「ショッピング(67.3%)」、「自然・景勝地の観光(52.1%)」、「街歩き(49.8%)」、「温泉入浴(26.6%)」が続きます。
また、「スキー・スノーボード(22.9%)」「農村体験(22.3%)」「伝統文化体験(18.8%)」といった体験型アクティビティへの期待値も非常に高くなっています。

参考資料:JNTO「訪日前の期待」https://statistics.jnto.go.jp/en/graph/#graph–expectation–expectation-purpose–ratio

この背景には、SNSで共有しやすい「絵になる瞬間」や「珍しい経験」を重視する傾向と、訪日経験を重ねたリピーターが“観光”から“参加型の旅”にシフトしている実態があります。観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2024年1–3月期)」でも、訪日タイ人の娯楽・体験支出は依然として全体の2〜3%にとどまるものの、体験の質が旅全体の評価に影響を与えるという傾向が強まっています。

参考資料:https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001750938.pdf

特に注目されているのが、「季節の非日常性」を活かした体験です。
たとえば、タイが酷暑を迎える4月には、涼しい北海道や東北地方で“桜と雪”の両方を味わえる旅程が人気を集めています。これは日本の四季が生む風景の違いや、タイでは得られない気候体験が大きな魅力となっているためです。

参考資料:朝日新聞「日本の四季を求めて訪日するタイ人観光客」https://www.asahi.com/articles/ASR4B3FP0R49UTIL00L.html

また、訪日経験の豊富な層では、「地方体験」への関心も顕著です。長野県の上高地や白馬での自然体験、岐阜県・飛騨高山での伝統建築探訪、石川県での加賀友禅体験や九谷焼絵付けワークショップなど、地域に根ざした文化・自然とのふれあいが、再訪の理由のひとつになっています。

体験そのものが旅の「主目的」となりつつある今、旅行者は「誰かに話したくなる」「SNSに投稿したくなる」ような価値ある旅を求めています。情報収集も、YouTubeやInstagramなどの視覚中心のSNSが主流であり、視覚的インパクトのある体験は今後ますます需要が高まると考えられます。

4. 地方への関心の高まりと観光地の変化

コロナ後のインバウンド回復期には「都市集中」が続くとの予測もありましたが、2023〜2024年にかけて地方訪問のニーズが顕著に高まっています。
観光庁の「令和6年版観光白書」によると、地方部(北海道、福岡、沖縄を除く地域)への外国人延べ宿泊者数が増加している自治体もあり、中でも石川県・愛媛県・福島県などは2019年比で+107~+132%という伸びを示しています。

参考資料出典:官公庁 令和6年版観光白書について
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001743038.pdf

参考資料:国土交通省 観光の現状について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kankorikkoku/dai26/siryou.pdf


一方で、2023年時点においても三大都市圏(東京・愛知・大阪など)への宿泊先集中率が約69%と高いものの、観光白書では「地方誘客の取組がより重要になる」と明言されており、自治体レベルでの施策強化の必要性が指摘されています。

さらに、JNTOのデータによると、東アジア・東南アジア地区からの旅行者の8割以上が「都市部以外の地方エリアも訪れたい」と回答しており、地方旅行への意向が根強く存在しています。

参考資料:インバウンドの最前線と 持続可能な未来へのビジョン
https://www.m-kouiki.or.jp/wp-content/uploads/2024/10/d1db468fa1586bd993b3f5e29c8958de.pdf


実際に、北海道・石川県・愛媛・福島などでは、宿泊者数が2019年を大幅に上回っており、ここにきて「第二の観光地」として台頭し始めています。
全国的には、地方訪問率が2023年に52.9%と過去最高となり、都市以外への旅行動線が着実に形成されていることが読み取れます。

参考資料:観光庁「訪日外国人の地方訪問に関する調査」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/gaikokujinshohidoko.html


このような状況を踏まえると、2025年以降も「都市+地方」の組み合わせ旅程が主流となる見通しであり、地方観光地にとっては“体験+映像”を組み込んだプロモーション設計が不可欠です。

まとめ

2025年、訪日タイ人旅行者は「情報収集を自ら行い、体験価値を追求する消費者」として成熟を見せています。旅行者数が2019年水準に戻っていないにも関わらず、支出額は大幅に伸びています。
訪日のきっかけだけでなく、「もう一度訪れたい」と思わせる体験を届ける仕組みづくりこそが、これからのインバウンド戦略に求められる核となります。

ウンド対策ラボ(アビリブグループ)では、インバウンドプロモーション ・ SNSマーケティング支援アビリブインフルエンサーなど各種インバウンド対策支援を行っています。
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