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【インバウンド対策】UGCが訪日外国人旅行客やSEO対策に与える影響

著者: インバウンド対策ラボ編集部

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コラム

【インバウンド対策】UGCが訪日外国人旅行客やSEO対策に与える影響

 現在のコロナ禍明けの時代では、以前と旅行ニーズが若干変化しており、それらを理解するためには旅行者の声をより多く集めることが重要です。また、旅行者が宿泊施設情報や観光情報を集める際に、企業ホームページだけでなく、一般旅行者の実体験や意見も重視する傾向がみられます。今回は、口コミを代表とするユーザー生成コンテンツ( UGC)とはなんなのか、その影響や重要性についてご紹介いたします。

UCGとは

 UGC(User Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)とは、企業者ではなく、消費者から生成されたコンテンツを指します。最も一般的な形式は口コミ(レビュー)と言えます。OTAサイトのレビューやTripAdvisorなどの口コミサイトでは多くのUGCがみられます。またSNSによる自身の旅行記や体験の投稿もUGCと考えられます。

 SNSの投稿と言うと、インフルエンサーによる宣伝・広告目的の投稿もありますが、これらはIGC(Influencer Generated Content、インフルエンサー生成コンテンツ)と呼ばれ、UGCとは区別されています。UGCは、一般消費者が匿名で投稿するケースが多いです。IGCはUGCと違って、有名人から生成され、インフルエンサーの認知度から影響を広げるコンテンツです。投稿者によって影響度も異なってきます。IGCの活用方法については、以前に紹介したInstagramインフルエンサーとのコラボでホテルの予約数とファンを増やす方法に詳細が記載されていますので、ぜひご覧ください。

UGCの旅行者への影響力

参考:「Post-Pandemic Shifts in Consumer Shopping Habits: Authenticity, Personalization, and the Power of UGC」(Stackla)
https://www.nosto.com/wp-content/uploads/2021/08/Stackla-Post-Pandemic-Shifts-in-Consumer-Shopping-Habits-Data-Report_FINAL_compressed.pdf p.23
グラフ:インバウンド対策ラボで日本語翻訳

 Stacklaは、2021年に18-55歳のアメリカ、イギリス、オーストラリア在住の消費者を対象に、旅行の予約を決定する際に最も影響力のあるコンテンツについて調査しました。すると、UCGが57.1%、企業や組織が作るコンテンツが27.6%、IGCが2%という回答結果となりました。UGCは、他のコンテンツよりも重視される傾向が非常に強いようです。さらに、UGC画像や動画を見て旅行を予約した消費者は52%にも及び、半数以上のユーザーが画像や動画という視覚情報の影響を受けていることが明らかにされています。この結果だけを見ると、UGC以外のコンテンツ評価が非常に低い印象をうけますが、例えば、IGCとUGCの関係をみると、IGCをきっかけにUGCの数が増えたり、2つが共存することで、UGCが一般消費者の生の声として信頼されたりするとも考えられていて、どちらも重要なコンテンツだと言えます。

 具体的に訪日旅行客が参考にしているUGCとしては、動画サイト、SNS、個人のブログ、口コミサイトなどが挙げられます。

「訪日外国人の消費動向 2023年7-9月期 報告書 」(観光庁)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001715452.pdf p.25-26

 動画サイトにはvlogと呼ばれる動画版ブログも多く存在しますし、SNSでも企業アカウント以外に個人で旅行のようすや体験記を投稿するユーザーはたくさんいるでしょう。これらの媒体は、訪日外国人旅行客の3割以上が旅マエの役立つ情報収集源と考えているようです。その他、UGCの代表格となる口コミサイトは、旅行関連のホームページとほぼ同等に参照されています。旅ナカの情報収集においても、パンフレットや現地での直接案内だけでなく、スマートフォンを使って多くのUGCに触れる機会があると考えられます。

UGCはSEO対策やブランディングにまで活かせる

 UGCは旅行者だけでなく、経営陣にとって有益な情報となり得ます。なぜなら口コミを定量的に分析することで、ユーザーが求める宿泊施設像をより具体的に、リアルタイムで理解することができるためです。例えば、訪日外国人観光客の口コミ分析による旅館の魅力と類型化では、海外旅行口コミサイトの分析により外国人旅行客が旅館の魅力と感じる要素について明らかにしました。この研究では、2003年〜2021年の18年分のTripadvisor「外国人に人気の日本の旅館」上位20軒の宿泊客から投稿された日本語と英語の口コミを分析、比較し、類型化しています。その結果、外国人旅行客にとっての旅館の魅力は、畳の和室での和食、従業員のおもてなし、プライベートで気兼ねなく入れる個室温泉風呂ということがわかりました。

「訪日外国人観光客の口コミ分析による旅館の魅力と類型化」(森下俊一郎、2023)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmda/23/0/23_69/_pdf p.70

 上記のテーブルより、施設の英単語(“room”、“stay”,、“staff”など)とともに、経験した感情に関する単語(“japanese”、“experience”、“traditional”、“great”、“private”、“good”、“amazing”など)も多くみられ、どのような場面でどんな経験をして、どんな風に心揺さぶられたかということが分析できます。

 また、旅行情報サイトにおけるランキングと口コミ内容の関係性では、口コミをテキストマイニングすることで、口コミ内容とランキングとの関係を明らかにしました。その結果、データから5つの内容(風呂・温泉、清潔さ、ウイルス感染対策、スタッフ対応、家族との食事)が抽出され、「ウイルス感染対策」「スタッフ対応」「家族との食事」に対する口コミが、ランキングに影響するということが判明しました。コロナ禍を経て行われた口コミ分析結果であることから、時代ごとの新たな需要を適切に反映していることが予測されます。このように、口コミを分析することで、消費者が「今」なにを重要視しているか、といった対策事項についても推察できるのです。これらのキーワードを多言語サイトに随時反映していくことで、よりユーザーに寄り添った情報の提供とともにSEO対策ができることでしょう。

まとめ

・UGCとは、User Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の略称で、企業者ではなく、消費者から生成されたコンテンツである。
・旅行の予約を決定する際に最も影響するコンテンツとして6割近い票を得ている。
・訪日旅行客は旅マエ・旅ナカで多くのUGCに触れる機会があり、実際に参考にしている。
・口コミを分析することで、旅行者に提供できているサービスを客観的に評価するとともに、旅行者が求めるサービスを定量的に明らかにし、ブランディングやSEO対策などに反映することができる。

 UGCが何者か、そしてその重要性についてご理解いただけましたでしょうか。UGCは旅行者間の情報共有にとどまらず、事業者のSEO効果やブランディングにも大きな影響を与える可能性があるということをぜひ心にとどめて、どんどん活用していってください!UGCの具体的な活用事例についても、できるだけ早くみなさまにご紹介 したいと思っています。

インバウンド対策ラボ(アビリブグループ)では、多言語サイト制作インバウンドプロモーションインバウンドメディア掲載など各種インバウンド対策支援を行っています。

 特にホテル旅館など宿泊・観光業の実績多数。これまでの知見を活かしたご提案をさせていただきます。

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