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タイ市場に向けた訪日観光マーケティング戦略と今後の成長機会

著者: インバウンド対策ラボ編集部

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インバウンドデータ・動向

タイ市場に向けた訪日観光マーケティング戦略と今後の成長機会

タイは、訪日リピーター率の高さと旅行消費額の伸びを背景に、日本のインバウンド市場において中長期的な成長が期待される重要市場です。本記事では、最新の統計データと市場調査を基に、タイ人旅行者の情報収集行動や意思決定プロセスを整理し、日本側の観光地・自治体・観光事業者が取るべき実践的なマーケティング戦略と受入環境整備のポイントを体系的に解説します。特に、YouTubeやPantipといった主要デジタルチャネルの活用、現地イベントとオンライン施策の統合、そして地方誘客に向けた今後の成長機会に焦点を当て、ビジネス視点での示唆を提供します。

1. タイ人マーケター/旅行事業者向けインサイト

1-1. プロモーション戦略:YouTubeとPantipの戦略的活用

① YouTube動画マーケティングの重要性
訪日旅行前に役立った情報源として、YouTubeなどの動画サイトは34.9%(2023年)と最も高い割合を占めています。これは、コロナ禍以前のSNS中心の情報収集から、動画コンテンツ重視へと明確にシフトしていることを示しています。

効果的なYouTube活用施策

疑似体験型コンテンツの制作
観光地の雰囲気、レストランでの食事シーン、ホテル客室の紹介など、視聴者が訪問後の体験を具体的にイメージできる動画

タイ人インフルエンサーとの連携
人気の旅行系YouTuberを招聘したファムトリップを実施し、現地体験を動画として発信

実用的情報の提供
交通アクセス、予算感、モデルルート、注意点などを具体的に解説

タイ語字幕の付与
日本語動画にタイ語字幕を追加することで、理解度と視聴完了率を大きく向上

② Pantip(タイ最大級口コミ掲示板)の活用

Pantipには「訪日体験記」「レンタカー利用方法」「おすすめ観光スポット」などの投稿が数多く存在します。口コミを重視するタイの国民性を踏まえると、Pantip上での評価は観光地の認知度や信頼性に直結します。

効果的なPantip活用施策

実体験投稿の促進
訪日したタイ人旅行者に対し、SNSキャンペーン等を通じて体験記投稿を促進

質問への公式対応
日本旅行に関する質問に対し、正確かつ丁寧な回答を行う(公式アカウント運用も有効)

成功事例の分析
高評価を得ている観光地・施設の共通点を分析し、自地域の施策に反映

YouTubeとPantipは、タイ人の旅行先選定に最も影響力のあるチャネルです。これらへの戦略的投資は、認知拡大と訪問促進の両面で高い効果が期待されます。

出典:
観光庁「訪日外国人消費動向調査(2023年)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

1-2. タイ現地イベントとデジタル施策の融合戦略

現地イベントの重要性
デジタル施策が主流となる中でも、現地イベントを通じて直接市場の空気に触れ、タイ人の生の声を収集することは依然として重要です。

効果的なイベント施策

旅行博・展示会への出展
Thai International Travel Fair など主要旅行博覧会への参加

現地旅行会社との商談会
タイの旅行代理店との関係構築

SNS・LINE接続施策
QRコードやプレゼント企画を活用し、来場者とLINE・Facebookで接点を構築

イベント前後のデジタル施策
事前告知から事後フォローまで一貫したオンライン対応

オンライン・オフライン統合ストーリー


✔イベント前:SNS告知・来場促進
✔イベント中:体験提供・投稿促進・連絡先取得
✔イベント後:LINE配信、メールマガジン、リターゲティング広告


特にLINEはタイ国内での利用率が極めて高く、LINE公式アカウントを軸とした継続的な情報発信が有効です。


出典:
JNTO「タイ市場基礎データ」
https://www.jnto.go.jp/statistics/market-info/thailand/thailand02.pdf

1-3. 日本側観光地・自治体が取り組むべき重点施策

① タイ人向け情報整備
タイ語パンフレット・案内表示の整備
観光協会・宿泊施設・飲食店公式サイトのタイ語化
タイ語対応スタッフ配置(翻訳アプリ併用も可)

② 決済・交通インフラの多言語対応
キャッシュレス決済(クレジットカード、QR決済)の導入
交通系ICカード利用方法のタイ語案内
観光地・宿泊施設での無料Wi-Fi整備

③ 仏教文化への配慮
タイ人の9割以上が仏教徒であり、寺院や仏教文化への関心は高水準です。歴史的背景や文化的意味をタイ語で解説することで、体験価値と満足度が向上します。

タイ語での情報提供は「おもてなし」として評価され、SNSでの好意的な口コミにもつながります。初期投資は必要ですが、長期的には高い費用対効果が期待できます。


出典:
JNTO「タイ市場基礎データ」
観光庁「訪日外国人消費動向調査(2023年)」
https://www.jnto.go.jp/statistics/market-info/thailand/thailand02.pdf
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

1-4. 将来展望:回復基調・為替環境・LCC拡充

訪日市場の回復状況
2025年上半期のタイ人訪日数は68万500人と、2019年比で約51%まで回復しています。2024年通年では約115万人(2019年比87%)に達しており、2025年中の完全回復が見込まれます。

円安・バーツ高の影響
1バーツあたりの円換算は、2019年の約3.5円から2024年には約4.5円へと上昇し、タイ人の購買力は約30%向上しました。これにより、旅行中の消費額増加が期待されます。

LCC路線の拡充
エアアジアやタイ・エアアジアXなどのLCCにより、バンコク—東京・大阪・札幌・福岡などの路線が拡充されました。今後、地方空港への直行便が増加すれば、地方観光地への誘客がさらに進むと予測されます。
タイ人訪日市場は、2026年以降に年間150万人超へ成長する可能性があります。円安基調、LCC拡充、高い親日度、約70%のリピーター率、SNS・動画拡散力がその成長を支えています。

出典:
JNTO訪日外客統計
https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/

2. 総括と今後の成長テーマ

2-1. 市場の主要特性

✔高いリピーター率(約70%)

✔個人旅行(FIT)比率85.3%

✔長期滞在(平均8泊)

✔一人当たり旅行支出の大幅増加

2-2. 今後注目すべきテーマ

✔レンタカー利用を前提とした地方周遊

✔四季体験(桜・紅葉・雪)

✔スノースポーツ・自然体験

✔アニメ・コンテンツツーリズム

✔温泉・旅館での滞在体験深化

地方エリアがこれらの需要に対応できれば、長期滞在・高付加価値型観光の受け皿として大きな成長機会を得ることができます。

出典・参考データ:
観光庁「訪日外国人消費動向調査(2023年)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/gaikokujinshohidoko.html
JNTO「外国旅行の動向(タイ市場)」
https://www.jnto.go.jp/statistics/market-info/thailand/thailand02.pdf
一般社団法人アニメツーリズム協会「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2020年版)」

まとめ

タイ人訪日市場は、高いリピーター率と消費意欲を背景に、今後も安定した成長が見込まれる有望市場です。旅行先選定においては、YouTubeやPantipといった動画・口コミチャネルの影響力が極めて大きく、デジタル上での認知形成が訪問意欲を左右します。加えて、現地イベントとオンライン施策を組み合わせた統合型マーケティングは、一過性の接点を継続的な関係へと転換する上で有効です。

日本側に求められるのは、タイ語による情報提供、決済・交通インフラの整備、文化的配慮を含めた受入環境の高度化です。これらは満足度向上だけでなく、SNSを通じた好意的な情報拡散にも直結します。今後は、レンタカーを活用した地方周遊、四季体験、温泉・旅館滞在といった分野での需要拡大が見込まれます。タイ市場の特性を正確に捉え、長期視点で戦略的に取り組むことが、持続的なインバウンド成長の鍵となります。

インバウンド対策ラボ(アビリブグループ)では、 インバウンドプロモーション インバウンド広告のサービスなどのインバウンド対策支援を行っています。特にホテルや旅館など、宿泊・観光業の実績多数。これまでの知見を活かしたご提案をさせていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。

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