
2025年1-3月期における訪日外国人旅行消費額は、総額2兆2,720億円に達し、前年同期比で28.4%という大幅な増加を記録しました。
この中で、訪日ベトナム人旅行者の消費額は440億円と推定され、前年同期比でわずか1.4%の微増にとどまりました。
訪日ベトナム人(一般客)の1人あたりの旅行支出は234,174円でした。
これは前年同期比で7.2%の減少を示しています。一方で、訪日ベトナム人旅行者数は18.8万人となり、前年同期比で9.2%の増加を達成しました。1人あたりの支出は減少したものの、訪日者数が増加したことで総消費額を維持した、という傾向が読み取れます。
1.ベトナム人観光客の消費傾向
訪日ベトナム人の旅行目的は、多様化が進んでいます。中でも「観光・レジャー」目的が依然として過半数を占めながらも、以下のような消費傾向が見られます。
項目 | 一人当たり平均消費額 (2024年) | 構成比 |
---|---|---|
宿泊費 | 約36,000円 | 19.1% |
飲食費 | 約29,000円 | 15.4% |
交通費(国内) | 約21,000円 | 11.1% |
娯楽・サービス費 | 約10,000円 | 5.3% |
買い物代 | 約90,000円 | 47.6% |
※出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2024年 年次報告
項目 | 一人当たり平均消費額 (2025年1-3月期) | 構成比 |
---|---|---|
宿泊費 | 約78,028円 | 33.3% |
飲食費 | 約71,557円 | 30.6% |
交通費(国内) | 約21,530円 | 9.2% |
娯楽・サービス費 | 約8,601円 | 3.7% |
買い物代 | 約53,953円 | 23.1% |
※出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2025年1-3月期報告
2025年1-3月期報告では、宿泊費と飲食費の合計で約64%を占め、消費から体験型の中長期滞在へ移行している傾向が表れています。買物代も23%と依然高く、日本製品やお土産の購入意欲が根強いことが伺えます。
宿泊費(全体の33.3%)
・ 多くの旅行者が宿泊に重きを置く傾向で、ベトナム人でも快適性や品質を重視。
・ ミドル〜ハイクラス層は高級ホテルや温泉旅館を選択する傾向。
・ 地方滞在でもWi‑Fi、朝食付き、団体規模向け施設に支出を集中させる傾向。
飲食費(全体の30.6%)
・ 外食中心に「日本でしか味わえない体験」へ支出が集中。
・ カフェ・居酒屋・回転寿司など中価格帯からハイエンドまで多様な食体験に投資。
・ 地方ではご当地グルメや郷土料理体験、プレミアム食材(カニ、和牛)にも支出が伸びてる。
交通費(全体の9.2%)
・ 国内移動にかかる費用は小さいが、高速バス・鉄道・地方交通パスに費用をかける傾向があり、特に地方周遊時の利用が増加。
・ LCCや乗り放題パス活用への関心も高く、オンライン購入に積極的。
娯楽費・サービス費(全体の3.7%)
・ テーマパーク(USJ、ディズニーランドほか)、水族館、美術館、温泉施設などに積極的に消費する傾向。
・ 地方の体験型アクティビティ(そば打ち、農業体験、手仕事体験など)へのニーズが高まり、付加価値型プログラムに支出を拡大。
買い物代(全体の23.1%)
・ お土産、免税品、化粧品、家電などへの支出が大きく、免税ショッピング市場は回復を続けている。
・ 特に菓子類・化粧品・ファッション・雑貨分野への消費が目立つ 。
2.ベトナム人観光客の買い物傾向
2024年の買い物ランキングトップ5は以下のようになっています。
順位 | 項目 | 購入率 | |
---|---|---|---|
1位 | 菓子類 | 78.8% | 13,791円 |
2位 | 衣類 | 46.4% | 24,854円 |
3位 | その他食料品・飲 料・たばこ | 41.4% | 17,814円 |
4位 | 化粧品・香水 | 34.6% | 22,205円 |
5位 | 靴・かばん・革製品 | 25.5% | 25,135円 |
1位の菓子類は約8割を占めており、高い需要があることが分かります。
ベトナムでは親族や友人と旅行に行った際のお土産を持ちよって小さなパーティーを行うことがあります。分けやすい小分け菓子の人気が高く、特に日本のチョコレートはベトナム人が好むお土産の定番です。また、米を良く食べる文化なので煎餅も人気があります。
続く2位の衣類も5割近い需要があります。
人気のユニクロはベトナムにも進出して店舗があるのですが、日本に比べると価格が割高なので日本に旅行で行った際にまとめて買うという事が起ります。日本ならではの漢字を用いたデザインや子供向けのキャラクター商品等が人気です。
3位の食料品や飲料では、粉末の抹茶や梅酒が人気です。特に抹茶は味だけでなく健康志向からベトナムの若年層の間でブームが起きており、ベトナムのカフェチェーン店等では抹茶を使った飲料やデザートがよく見られます。
続く、化粧品や革製品などベトナム人観光客は実用品に消費する傾向があります。
ベトナム人は健康志向が高いのでサプリメントや健康食品等も人気です。
※出典:ベトナムで広がる抹茶ブーム
https://poste-vn.com/news/2025-06-16-20099
※出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2024年 年次報告
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001884192.pdf
まとめ
訪日ベトナム人旅行者の消費動向から、
インバウンド戦略において以下の点が考えられます。
飲食費が高い傾向にあることから、日本の食文化の魅力をさらに引き出すプロモーションや、多様な価格帯・ジャンルの飲食店情報提供が効果的です。健康志向からヘルシーなメニューが好まれる傾向がありますが、ベトナム本国では、日本の寿司・ラーメン・カレーの人気が高まってきています。プロモーションにはベトナム人に人気のSNSの活用が重要になるでしょう。
ベトナムのSNS事情についてはこちらの記事をご覧ください。
宿泊費への支出も多いため、単なる滞在場所としてだけでなく、日本の文化体験や地域交流ができるような付加価値の高い宿泊プランの提供が、満足度向上と消費促進につながる可能性があります。特にベトナム人は記念撮影を好むので、自然の絶景にある旅館などはSNSで話題になりやすいです。
1人あたりの支出額が減少している背景には、情報収集の効率化や、よりコストパフォーマンスを重視する傾向があるかもしれません。価格競争力のある商品・サービスの提供、または明確な価値提案による高単価商品の訴求といった両面からのアプローチが求められます。
訪日ベトナム人旅行者の動向は、全体的なインバウンド回復の中で独自の動きを見せています。これらの最新トレンドを把握し、的確なインバウンド対策を講じることが、ベトナム市場での成功の鍵となるでしょう。
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