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訪日タイ市場トレンド分析【消費行動・滞在・情報収集の変化】

著者: インバウンド対策ラボ編集部

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インバウンドデータ・動向

訪日タイ市場トレンド分析【消費行動・滞在・情報収集の変化】

日本のインバウンド市場において、タイは重要な成長市場として位置づけられています。
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2025年上半期(1月~6月)のタイ人訪日数は前年同期比10.1%増の68万500人を記録し、国・地域別で第6位となりました。
本記事では、タイ人訪日客のトレンドと今注目されている新しい旅行先の傾向を紹介します。

1.タイ人訪日客の傾向

2024年通年では約114万8,900人(前年比15%増)のタイ人が日本を訪れており、コロナ禍前の2019年(約132万人)の水準に着実に回復しつつあります。2025年9月単月では5万1,300人(前年同月比12.7%増)と2カ月連続で上昇傾向を示しています。

タイ人訪日客の特筆すべき点は、その経済的価値の高さです。
観光庁「訪日外国人消費動向調査」によると、2025年1次速報では一人当たり旅行支出が207,073円に達し、2019年比で50.1%増という大幅な伸びを示しています。
また、平均滞在日数は8.0泊と長期滞在傾向にあり、アジア圏の訪日客の中でも高水準を記録しています。

このような背景から、宿泊施設や観光関連事業者は、タイ人向けの訪日インバウンド施策に積極的に取り組むべき時期に来ていると言えます。

2. タイ市場の位置づけ

タイは日本のインバウンド市場において第6位の重要市場です。2025年上半期の訪日外客数約2,152万人のうち、タイ人は68万500人を占め、ASEAN主要6カ国の中でも安定した訪日需要を示しています。
出典:JNTO訪日外客統計(2025年上半期)

https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/

3. タイ人訪日客の基本属性

観光庁「訪日外国人消費動向調査(2023年)」によると、タイ人訪日客の基本属性は以下の通りです。

性別構成:
 ・女性: 60.6%
 ・男性: 39.4%

女性主導の旅行傾向が明確に見られ、ファッション、ショッピング、SNS映えする観光スポットへの関心が高くなっています。

年齢構成:
 ・20~39歳の若年・中堅層が約51%を占めます
SNSやインフルエンサーによる情報拡散が行動に強く影響している世代です。

旅行形態:
 ・個人旅行(FIT): 85.3%
 ・団体旅行: 14.7%

個人旅行が圧倒的多数を占め、自由な行動を好む傾向が強くなっています。

リピーター率:

 ・約70%(2019年時点)

初回訪問者よりもリピーターの方が消費額が高く、2回以上の訪問者は213,533円を支出するのに対し、初回訪問者は172,075円と、約24%の差があります。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査 (2023年、2024年)」

https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

4. 旅行支出の構造

2024年時点のタイ人訪日客の一人当たり旅行支出197,305円 (2025年は207,073円)の内訳は以下の通りです。

費目別支出額と構成比:

 ・買い物: 62,322円 (31.6%)
 ・宿泊: 60,734円 (30.8%)
 ・飲食: 45,362円 (23.0%)
 ・交通: 22,336円 (11.3%)
 ・娯楽・サービス: 6,234円 (3.2%)

買い物と宿泊が支出の中核を占め、合わせて全体の約62%を占めています。
これは、日本製品への信頼やブランド志向、免税制度の浸透、そして長期滞在傾向を反映しています。

タイ人訪日客は「モノ消費」と「コト消費」をバランスよく実現しており、他国の訪日客と比較しても多面的な支出構造を持っています。買い物支出の高さは、日本製品の品質への信頼と、家族や友人へのお土産文化が背景にあります。一方で、飲食費が23.0%を占めることは、日本食への強い関心を示しています。

出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査(2024年年次報告書)」

https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

5. 滞在日数と訪問時期の特徴

タイは欧米諸国と同様に、長期滞在型の観光が主流となる傾向が見られます。特にロングステイ志向の旅行者が増加しており、滞在日数の伸びが顕著です。

平均滞在日数:
 ・全体平均: 8.0泊
 ・2~5日間の滞在: 46.9% (最多)
 ・一週間以上の長期滞在: 一定層が存在

長期滞在志向が、宿泊・飲食・体験型サービスへの支出を押し上げています。

訪問時期の偏り タイ人訪日客には明確な訪問時期の偏りが見られます。2019年のデータによると、以下の4か月に訪日客全体の約47%が集中しています。

 ・4月: 約16万人 (年間全体の約12.5%)
 ・12月: 約16万人 (年間全体の約12.5%)
 ・3月: 約14万人 (年間全体の約11%)
 ・10月: 約14万人 (年間全体の約11%)

この訪問パターンは、タイの祝日・休暇と日本の季節的魅力が重なることに起因しています。4月はソンクラーン(タイ正月、4月13~15日)と桜シーズンが重なり、12月は年末休暇と雪景色・スキーシーズン、3月は春の訪れと暖かい気候、10月はタイの学校の長期休暇と紅葉シーズンがそれぞれ重なっています。

出典:JNTO「タイ市場基礎データ」、観光庁「訪日外国人消費動向調査(2023年)」

https://www.jnto.go.jp/statistics/market-info/thailand/market-basic-thailand.html

6. 情報収集行動の変化

タイ人訪日客の情報収集行動において、近年顕著な変化が見られます。

訪日旅行前に役立った情報源 (2023年、複数回答)

 ・YouTube等の動画サイト: 34.9%
 ・SNS: 33.3%
 ・親族・友人の口コミ (重視される)

コロナ禍前はSNSが1位、動画サイトが2位でしたが、2023年には動画サイトが首位に立ちました。これは、YouTubeを活用した「疑似体験型の情報収集」が主流化していることを示しています。

タイ国内のSNS利用状況 (2024年)
 ・SNS利用率: 総人口の68.3% (約4,910万人)
 ・YouTube: 70.4%
 ・Facebook: 61.7%
 ・nstagram、TikTokも高い利用率


タイデジタル経済社会省とタイ国家統計局の「2024年(第3四半期)情報通信技術の利用に関する世帯調査」によると、タイの6歳以上のインターネット利用者は5,920万人で、普及率は89.7%に達しています。

タイ人旅行者は訪日旅行の情報収集にPantip(タイ最大の口コミ掲示板)を積極的に利用します。
特に「訪日体験記」「レンタカーの使い方」「おすすめスポット」などの投稿が多く、日本旅行の情報収集の重要な場となっています。
口コミを重視する国民性のため、Pantipでの評判が観光地やサービスの認知度に大きく影響します。

2019年以前のSNS・ブログ中心の情報収集から、映像体験重視へと明確なシフトが起きています。これは、動画コンテンツが旅行先の雰囲気や体験をより具体的に伝えられるためと考えられます。マーケティング戦略においては、YouTubeを軸とした動画コンテンツ制作と、Pantipでの口コミ醸成が重要となります。


出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査(2023年)」、Workshift調査、DataReportal 2024年版

https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

https://datareportal.com/reports/digital-2025-thailand

7. 訪日目的と期待内容

観光庁「訪日外国人消費動向調査(2023年)」によると、訪日タイ人が「訪日前に期待していたこと(複数回答)」の上位は以下の通りです。
 ・日本食を食べること:86.9%
 ・ショッピング: 66.9%
 ・自然・景勝地観光: 51.8%
 ・繁華街の街歩き: 49.6%
 ・温泉入浴: 27.1%

また、「次回の訪日旅行でやってみたいこと」として、以下が挙げられています。
 ・スキー・スノーボード: 22.9%
 ・自然体験ツアー・農漁村体験: 22.2%
 ・日本の歴史・伝統文化体験: 18.6%
 ・日本の日常生活体験: 16.7%

タイ人の関心は、従来の物見遊山型観光から、体験型・コト消費へと広がりを見せています。日本食への関心は圧倒的に高く、飲食を中心とした旅行提案が効果的です。
また、タイには存在しない四季の体験(特に雪、スキー)への憧れが強くなっています。


出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査(2023年)」

https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

まとめ

タイは日本のインバウンド市場において安定した成長を続ける主要市場であり、訪日者数・旅行支出・滞在日数のいずれも強い回復基調にあります。特に平均8泊のロングステイ傾向や20~39歳女性を中心とした訪日需要の伸びが顕著で、買い物・宿泊・飲食に対する支出意欲も高い水準です。情報収集手段はYouTubeを中心とした動画消費へシフトしており、体験型コンテンツへの関心が一層高まっています。今後、宿泊事業者や観光関連業界にとって、タイ市場は戦略的に重要性を増す領域と言えます。

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